イノベーション

2008年4月30日 (水)

Singapore、Paris、そしてCassisへ

24日の午後、Singaporeへ向けて出発。日付の変わる頃にホテルにチェックイン。25日はA*STAR理事会です。いつもながらテキパキとした議事と議論が進み、午後には新しく設立された免疫研究室を訪問しました。日本はこの分野は強いので、若い研究者が独立するにはよい場所だと思います。ここで活躍している元京都大学ウイルス研究所の伊藤教授とも電話でお話しました。

Singaporeに滞在して24時間もたたない25日の夜遅く、Parisへ向けて出発。1日ゆっくりしながら、夜はParisにいるフランス人の知人から、SONY Computer Science LaboratoryMario Tokoro社長北野さんのお二人と一緒にご招待を受けて、5人でSt. Honoreの日本大使館と英国大使館の間にある素敵な会員制のクラブで食事をしました。いろいろと話が弾みましたが、やはり、一緒にいる人たちと場所の雰囲気や伝統、環境といったものは大事ですね。これはマネをしようとしてもなかなか無理ですが。

Parisは素晴らしい天気。空気はからっとして、木々は濃いミドリ。一年で一番いい季節ですね。とても気持ちいいです。去年もこの時期にParisに滞在しました。たまには、ゆっくり海外で時間を過ごすのは素敵です。とはいっても、結構忙しい日程です。

26日、Gare de Lyonを出発し、Marseilleへ。そこからCassisへ向かいました。SONY研究所の主催する“Sustainability”をテーマにした、こじんまりとした会議です。去年はCamargueで開催されました

3月にはUNESCO-L’Oreal 、4月にはPecresse大臣の来訪、さらにフランスのテレビ局の取材などが続き、このところどっぷりとフランスに浸かっているような気分です。

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写真1 Cassisの港




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写真2 泊まっているホテル




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写真3 Cassisの海岸線




写真1〜3はCassisの風景です。白い崖に囲まれたリゾート地で、日本でいうと逗子のような雰囲気ですね。最近ニュースにもなりましたが、ここはあの「星の王子様」で有名なサン・テクチュぺリ の飛行機が撃墜されて沈んだ場所でもあるのです。


2008年3月31日 (月)

科学新聞、「グローバル化とイノベーション」

科学新聞という週刊の新聞があります。それほど発行部数が多いわけはありませんが、主に科学技術関係の記事を扱っていて、科学者や科学に関わる人たちに広く読まれています。これは科学技術庁設立を強く推進した、当時の国会議員であり、また東海大学の創設者である松前重義先生の肝いりのものです。この先生のすごいところはその見識、実行力等々。沢山の貢献があるので、ウェブで検索してみてください。「二等兵物語」は自伝の一部ですが、あの戦争中に政府内にあって堂々と東条英機首相の政策を批判し、40歳を超えて「二等兵として徴兵」され、それに従うのです。本当にすごいことです。これは読んでみるといいと思います。

この科学新聞では時々、「対談」や「放談」をさせていただいたりしていますが(このブログでも検索してみてください)、今回は「“科学技術立国”日本の課題」というタイトルで、シリーズを企画することになりました。その第一回(3月28日号)「グローバル化とイノベーション」 で、私のインタビュー記事が掲載されました。大見出しは「個人力引き出す教師の熱意」というものです。人材育成がなんと言っても一番大事ですから。

ちょうど2週間ほど前に「イノベーション思考法」(PHP新書)という本を出しましたが、これも参考にしていただければうれしいです。イノベーションとは何か、日本の課題も含めて理解していただけると思いますし、実際に行動を起こしていただけるとうれしいです。「イノベーション25」の発表、そして閣議決定以後も、世界は待ったなしでさらにドンドン動いている実感があります。


2008年3月19日 (水)

『イノベーション思考法』が出版されました。

『イノベーション思考法』がPHP研究所から出版されました。

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出版社: PHP研究所 (2008/03)
ISBN-10: 4569696813
ISBN-13: 978-4569696812
価格: 720円(税別)



2008年3月13日 (木)

「国際保健で主導権発揮を」・「イノベーションの課題」

日本経済新聞(2008年3月11日)に掲載された記事「経済教室 国際保健で主導権発揮を」を、記事講演録一覧に追加しました。

 「経済教室 国際保健で主導権発揮を」

2007年10月18日に開催されたエンジニアリングシンポジウム2007での講演録を、記事・講演録一覧に追加しました。

 「イノベーションの課題」
 

その他の記事・講演録等はこちら ≫≫≫


2008年3月10日 (月)

The Economistの会議: 日本の強み、弱み。

3月5日、朝8時から総理官邸で「地球温暖化に関する懇談会」の第1回に参加。ちょっとスタートが遅すぎる感じもありますが、ダボス会議の講演をはじめ、総理の考えがだんだん前進しているのです。結構なことです。でも国会は予算委員会、道路財源、ガソリン税、日銀総裁人事等々、課題が山積です。

世界で最も読まれている経済紙の「The Economist」は、最近の号で「JAPAIN」(「JAPAN」ではない)という見出しの特集で、世界第2位の経済大国にもかかわらず、この危機的な状況になっても日本は政治的リーダーシップがないと報告をしていました。その「The Economist」主催の会議があり、午後のパネルに出席しました。昼前のセッションにも少し顔を出しましたが、渡辺喜美大臣、松井証券の松井さん等の論客が「社会主義国日本の苦悩」について話していました。また午後には政務官の方(勿論、政治家です)も出ていましたが、政務官は大臣の補佐をする役目なのに、役人の書いたものをそのまま読んでいるなんて変ですね。世界とは逆です。「ギャグ」か?だから“leader”ではなくて“reader”と言われるのです。参加者の半分は外国人なのにこれではね。日本人に「R」と「L」の発音が区別しにくいのはわかりますが、こうまで言われるようでは・・・。日本の役所と大臣の関係は世界からまったく理解できない変な政府なのです。

昼食時には民主との岩国哲人議員の講演がありました。午後の最初のパネルに参加したのですが、この内容は石倉さんのblogを見てください。Panelistsは4人でそれぞれ10分ほどプレゼンしました。私は最後の締めくくりとして、4つのことについて話をしました。(1)まず「We ‘eated’ lunch next room and enjoyed a lecture by Iwakuni-san」という言葉からはじめました。「We eated lunch」は間違った言い方ですが、誰も私をとがめもしないし、笑いもしませんでした。英語としてちゃんと通じているのです。ここで「We eated」じゃなくて「We ate」だというのは正論ですが、「eated」で十分に通じるのです。正しい文法を気にするのもいいですが、「まず英語を喋ることからはじめましょう」という一例です。これがグローバル時代の共通語としての「ブロークン英語」なのです。

Panelistの一人、Nokiaの役員はいい話をしました。世界で毎日100万台の携帯電話が売れていると。そこで、私の(2)は世界の携帯シェアは38%がNokia、14%がMotorola、12%がSamsung、9%がSONY-Ericksonで、日本の携帯電話は10数社を合わせても世界の5%程度のシェアですと話しました。DoCoMoなどのキャリアが縛っているからだということを言う人もいますが、その通りでしょう。でも部品では日本製の性能は良く、世界中の携帯電話の部品の65%程度が“made in Japan”なのです。日本の強さと弱さをしっかり認識して、グローバルにビジネスをしなくてはいけないということです。

次に(3)として、AppleがiPhoneを出したら日本の各キャリアが、是非うちに取扱わせて欲しいとAppleに陳情に行くのですから、日本の携帯電話産業にかかわる人たち、技術者、経営者とその組織の全体に問題ありと指摘しました。“世界”のお客さんのほうを見くことが大事です。大体、Appleは1997年には、資金が5週間分しかなくて、もう破産かどこかに吸収されると言われていたのですよ。日本の企業もここまで追い込まれないとダメなのですかね。すぐに役所に陳情という企業体質も問題ですね。

大企業、役所、老舗で次々と起こる、信じられないほど幼稚なトップの不祥事。これはなぜ起こるのか良く考えてください。しかも、経営者は自ら辞めもしない、社長を辞めるといっても取締役として残っているとか、本当にみっともない。こんな社会の「上の方たち」が“品格”などとよく言うよ!と覚めた感じが社会、そして若者に蔓延しているのも当然です。社会のどこもかしこもトップは腐っています。自分から、きちんと社会的責任を取ってもらいたいものです。これでは経済成長もどんなものでしょうか。

最後に(4)として、ポケットからiPodを取り出して、このピカピカした裏のデザインと試作品は日本、生産は台湾企業、その生産工場は中国、内部部品もいくつか日本製品が入っている。でもこれはすべて部品メーカー。Appleは何も作らず、全体のシステムとコンセプトを作り出したこと、そして一つの製品の利益率が50%などという話しをし、「ものつくり」は大事だが、何を目的に、何を作るのか、そしてどう顧客を掴むかが大事だという話をしました。iPodの使用説明書は至極簡単ですね。全部ネットでみれます。日本の携帯電話をはじめとする電気製品の説明書の判り難さ、想像を絶しっていますね。技術者が書いているのでしょうが、根本的にユーザーを向いていないのです(「理科系の作文技術」-1981年、中公新書など、木下是雄先生の著書が面白いですよ)。この辺については林信行さんが書かれた「iPhoneショック」(日経BP社、2007年)が参考になるでしょう。

日本の強さと弱さ。技術は素晴らしいですが、構想力と世界への行動力の欠如。所詮は経営ですね、弱いのは。社長も「2年2期」など、勝手な内向き規則で平気な顔をしているなんていうのは、この世界の情報化時代に信じられないことなのです。これは市場経済の基本的事項。日産がゴーンさんを招いた時に「2年2期」などという内規を伝達したとは思えませんが、どうでしょう。日本の常識ばかりに囚われるのもいい加減にしてください。

今の日本に必要なのは1960年代の「SONYの盛田さん」のような経営者でしょうか、と言うとすぐに時代が違うとか、あの人は特別、誰それがいたからなどとまずできない理由を考える人は経営者として失格ですね。


2008年1月28日 (月)

ダボスから、その4

ホテルの部屋の窓から見た朝の風景(写真1)。真ん中の遠くにとがった山、これはマッターホルンに似ていますが、Tinzenhornといいます。

1img_1077写真1

会議はいよいよ最終日。総理が朝に到着して、Gates、Blair、Bono等と会談。11時30分からは大ホールで講演があり、壇上にはこの会議を主催するSchwab教授とBlair英国前首相もあがられました。私はといえば、Bonoと彼のスタッフ等と最前列に座りました。やはり、総理はかなり緊張されていたようで、どうしても話し方が早くなりがちでした(写真2)。私は英語で聞いていたのですが、英語訳は原稿があるのでどうしても遅れがちです。講演の内容は良かったと思います。あとは政治家の演説として、うまく編集すればもっとよかったでしょう。Blair氏から3点、Schwab氏から2点ほど質問がありました(写真3)。NHKでもテレビ放映したそうですね。友人から早速メールが入りましたが、皆さんはどう思われましたか?

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写真2




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写真3




総理の演説が行なわれる直前、この大ホールで行なわれたパネルが世界経済の動向に関するもので、超満員。Clinton政権時代の財務長官で、Harvard学長でしたが女性差別失言で学長を退任した超優秀経済学者のSommers氏などが参加されましたが、皆さんに明るい見通しは持っていないようです。このパネルからの流れで、世界経済動向についての質問が総理にあったのですが、パネルのムードとはちょっと違うコメントになってしまったのも致し方ないでしょう。こういう場では臨機応変も問われるのですが、サポート役にはとても余裕がなかったのでしょうね。日本の総理が会議に参加したのは、確か2001年の森総理以来ですから、それだけでも大変に意味がありました。総理もサポートの皆さんも本当にご苦労様でした。5月のTICAD、7月のG8と、国民のためにも、皆さんしっかり頼みますよ。

この後、総理はビジネス関係者の方たちとの昼食会。随行記者やCNN等のインタビューに答えた後、すぐに帰国の途へ着きました。

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写真4 奥田さんと




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写真5 会場で、左から氏家さん、日本碍子の柴田さんご夫妻、奥田さん、私、竹中さん




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写真6 会場で仕事をする私




夜は、ホテルで東京レセプション。石原都知事は来られず、猪瀬副知事がホストでした。その後は会議場でコンサート、諏訪内晶子さんがメインで、Bruchの「Concert, No. 1」とムソルグスキーの「展覧会の絵」でした(「展覧会の絵」を最後まで聞いたのは始めて)。諏訪内さん、素晴らしかったです。これは私の持論ですが、世界の日本人では一般的には女性が輝いています。「個人」としての存在では、男性と比べると断然存在感が違うのです。特に日本では多くが「組織の肩書きあっての男性」たちですから。ダボス会議での“日本の顔”といえば、いつもそうですが、なんと言っても緒方貞子さんなのです。

コンサートの後はソワレ。今年はトルコが主役で、トルコ料理ずくしでした。

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写真7 出井さん、竹内弘高先生ご夫妻、Schwab会長と




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写真8 出井さん、竹内弘高先生ご夫妻、MITメデイアラボのデザインで有名なジョン・マエダ教授



マエダさんはMITでTenureのある超有名教授ですが、これまた冒険で、Rhode Island School of Designの学長を引き受け、6月から移るそうです。いいですね、この精神。こういう人が何人も出てこないと日本の研究も、大学も活性化しませんし、学生、若者も元気は出ませんよね。いつも言っていることですが“個人力”ですよ。


2008年1月26日 (土)

ダボスから、その3

25日は朝早くからゲイツ財団のDr. Tachi Yamadaと2月に行う東京での会議の打ち合わせ、そしてこちら側の打ち合わせと忙しい午前でした。

午後はイノベーション関係のセッションと、プレナリーの「開発のドライバー」の最初の少しだけ出席。昨日紹介したMs. Nooyi(Pepsi社長)の司会で、Bill Gates、Gordon Brown英国首相、Zoellick世界銀行総裁、Treschow Uniliver会長、そしてTrevor Manuelで行われていました(写真1、2)。

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写真1 左からGates、Brown、Nooyi、Zoellick、ManuelとTreschowさん




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写真2 司会のNooyiさん。




最初のちょっとだけというのは、緒方貞子さんとBono(写真3)、それと日本の有力者で、Africa開発、TICAD、G8サミットと世界からの期待に対して、どのように日本の意識を国内外に示し、行動に移せるか、というテーマで応援団的なセッションがあったからです。トヨタの奥田元会長、塩崎恭久さん、川口順子さん、UNESCOの松浦事務局長、小宮山東大総長などが参加されていました。昨日もBonoのスタッフと会って話しましたし、これからもいろいろと協力し合うことになると思います。Bonoは緒方さんをとても尊敬していて、Africaにおける日本のODA活動は長い歴史があり、欧米のそれとは違って、とても上手くいっていることなど、よく知っています。今年は日本にとって大事な年で、そこに何ができるか、実に真剣に考えています。しかし、いろいろな活動があるものですね。教えられることも多いです。日本で行ったコンサートでは3日間で12万人が来てくれたとか(コンサートでもいろいろな工夫を仕掛けていたようですね、後で聞きました)、皆が何が出来るのか考え、とても情熱を感じるけど、でも政治のレベルでは内外に知られていないことなど、考えてくれていました。

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写真3 会議前のBonoと




また、BonoやGoreをサポートしているSun MicrosystemsのJohn Gageも参加していました。彼とはこの4年ほど、毎年ここダボスで会っています。

皆さんも考えてくださいね。一緒に広い世界へ思いを広げて活動しましょう。

去年の報告にも写真をつけて紹介したGoogle創始者のLarry Page(気候変動やglobal healthなどにもとても関心が高く、Google Foundationも立ち上げ活動しています)、そしてYouTubeのSteve Grove(写真4、5)ともばったり。

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写真4 Larry Page、Steve Groveと




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写真5 一ツ橋大学の竹内弘高さん、ダボス会議のWorld Economy Forum事務局の土屋君、Larry Page、Steve Groveと



(土屋君とSteve GroveはHarvard Kennedy Schoolで一緒だったそうです。だから面白いのです。個人力ですよ、グローバル時代の価値は。)

今夜、総理がZurichに到着されます。明朝、当地に入られ、Blair、Bono、Gates等と会談、そして演説。その後は財界の方たちと昼食と、スケジュールがみっちり詰まっているそうです。演説の原稿を総理自身が本当に気に入っているのか、個人的にはちょっと懸念はありますが、準備された皆さんご苦労様でした。結果は世界の評価です。さて、日本ではどう報道されるでしょうか?外では?表に出ない評価は?

夜は、ASEANのレセプションで沢山の人たちと会いましたが、結局いつものメンバー、Victor Chuさん(彼はどこに行っても顔が広い。仕事とはいえ海外は1年のうち250日以上のようです。すごいエネルギーですね。)とJohn Gageとで隣のホテルのバーへ。そこでHarvard Business SchoolのMichael Porterが合流して楽しい時間をすごしました。これがダボスの楽しさです。

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写真6 Chuさん、Gageさんと




夜11時から、インドが主催する“Bollywood Party”に来てくれと誘われていますが、さてと・・・。


2008年1月24日 (木)

ダボスから

例年のことですが、1月末にはダボス会議が開催されます。今回で8年連続の出席です。過去にも同じ時期にブログで報告をしているので見てください。

去年からですが、雪がとても少ないです。昨日は少し降りましたが本日は超快晴です。

今年は26日に総理が来られて演説をされるので、いつもより財界人の出席も多いようです。いいことですね。トヨタの奥田会長も24日にいらっしゃるそうです。往路のフライトでは緒方貞子さん、住友化学の米倉社長さん(ご両者ともご夫婦でした)、そしてNHKの今井さんたちとご一緒しました。

さて、23日初日の最初のセッション「Update 2008: Defining Innovation」に参加しました。IDEOTPG GrowthDoblinなど、米国のCEOとPartner、Index(NPO、Denmark)のCEO、それと私の5人で、司会はNussbaumさん(Business Week)で行なわれました。クリーンエネルギー投資、弱者救済、open innovation等の話がメインで、皆がグローバルな課題を中心に問題設定をしているのは頼もしく感じました。ちょっと「おや?」と意外に感じたほどです。TPGのMcGlashanさんの話から、私の友人でもあるSteven Chuの話が出て、そのことを話すと、「彼のことはよく知っている、大変素晴らしい方で、応援している、彼のprojectにも投資しているよ」と言っていました。

さて私は何をしゃべったかというと、“Googleの10年”、“10年前には瀕死だったAppleから、iPod、 iPhoneが”、“大ヒットしているNintendo ‘Wii’で、ビデオゲームに弱いお父さんが孫と遊んで汗をかく”、“Nergroponteの‘One laptop per child’のコンセプトはSoftwareからして画期的”等々、最近のフラットなグローバル社会のinnovationとして例示し、世界が抱える課題への貢献意識が世界中に広がっていることを指摘しました。加えて、2006年、2007年のノーベル平和賞がグローバルの課題に対する回答、つまりinnovationの目標として啓示的であることを話し、皆さん納得してくれたと思います。この辺の問題意識は、1月2日10日のブログなどでも繰り返し発信しているところですので、このブログを見てくださっている方たちには理解していただけるかと思います。

その後、隣に座った二人で相談しあって、新しい提案を出すというセッションがありました。結構面白いアイデアが出るものですね。感心しました。

後で何人かの方が、私の問題提起は明確で、刺激的で、とてもよかったと言ってくださり、嬉しかったです。フィードバックはありがたいです。いいときは褒めましょう、特に子供達をね!

今年のダボス会議ではClimate Changeのセッションが“28”も設けられていて、ビジネス界における問題意識の大きさを示しています。日本の産業だけが閉じこもり症候群に見えます。

その後のセッションでは、去年のノーベル平和賞IPCC座長のPachauriさんにお会いしました。来月、東京にお招きしていますので、楽しみにしていてください。


2008年1月16日 (水)

野依さんとの対談

理研ニュース 1月号に理化学研究所理事長の野依さんとの対談が掲載されました

ご存知のように、野依さんも私も、大学・大学院教育や研究者の育成について、皆さんと同じく熱い思いを持っています。特に、グローバルに活躍する人材を育成するという思いが私たち二人には強いところが、他の多くの方たちと少し違うところかと思います。

少し短いので私たち二人の気持ちが十分にはお伝えできなかったところはありますが、私たちの思いを少しでも汲んでいただければと思います。


2008年1月15日 (火)

日本のGDPは?

元日のブログ「行った年2007年、来た年2008年、日本はどこへ」の中で、「週刊 東洋経済」12月29日/1月5日迎春合併号の「10賢人が語る世界の大変革」という特集に、私の意見が“賢人の意見(?)”として出ていることをお知らせしました。読まれた方も多いと思いますが、本日付けで版権の問題が解禁になりましたので、早速、こちらに掲載しました。ご意見いただければ幸甚です。

 世界に通用する「個人力」がイノベーションの源泉だ(PDF)


2008年1月11日 (金)

ニューヨークから

ニューヨーク(New York City, NYC)に来ました。アメリカ最初の科学アカデミーであるNew York Academy of Scienceを訪問する為です。この何年かお付き合いしていて、去年移転した新しいオフィスに伺いました。会長のEllis Rubinstein(写真1)のオフィスは、9.11の起きた“グランドゼロ”の隣にあるビルの40階。“グランドゼロ”を直下に見下ろすことができる場所です。朝8時半から約45分間のインタビュー。10時からは、「Scientists Without Borders」(写真2)という新しい企画の評議会が行なわれました。聞いたことのあるような名前じゃないでしょうか?そうです、「国境なき医師団(Doctors Without Borders)」から取った名前です。同じようなミッションを考えているのです。私を入れた12人ほどがAdvisoryメンバーとなっています。

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写真1 Rubinstein会長と彼のオフィスで
(彼の奥様、Dr. Joanna Rubinsteinさんは、Jeffery Sachs氏が推進するプログラムのExecutive Directorをされていて、この日はDr. SachsとEthiopiaにいるようです)


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写真2 Advisoryに参加のメンバー、NYASスタッフと



AdvisoryメンバーにはKenyaのDr. Wakhunguも参加されています。ご存知かと思いますが、Kenyaは大統領選挙の直後で、不正の疑いがあるなどとして大騒ぎが起こっています。特にキベラスラムなど、大変なことになっていると報道されていたので状況を聞きましたが、本当に大変なようです。2006年6月のブログにも書いたOlympic学校2007年10月のブログでも触れています)も焼かれてしまったそうです。なんとか復興させたいですね。

また、昨日のWashington DCでもお会いして、ブログでも紹介したDuke UniversityのVictor Zhauさんも、このAdvisoryメンバーに参加していて、今日も一緒です。昨年10月にもご紹介したIntl AIDS Vaccine Initiative(IAVI)Dr. Seth Berkleyもメンバーの一人で、実体験に基づくアイデアをいろいろと出してくれます。3時間延々とBrain Stormingをし、このICTの時代、登録方法を含め、いろいろな可能性と運営方法、資金等、課題がたくさんありますが、いい勉強です。Columbia大学医学部M.D.-Ph.D.コースの学生(ご両親と一緒にインドから移ってきたそうです)も一人参加しています。若い人たちも参加させながら、このような新しい企画を作っていく。なかなかいいですね。時間がかかっても立ち上げたいです。

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写真3 NYASの受付に置かれたDarwinの胸像の前で、NY総領事館の三浦副領事と




午後は「Foreign Affairs」で有名なCouncil of Foreign Relationsへ。なんと昨日、以前にも紹介したGates財団のTachi Yamadaが、「Global Health」の講演をしていたのでした。私もWashington DCの世界銀行で同じテーマの講演をしていたのですから、偶然とはいえ面白いものですね。あとで早速メールしておきました。目的はこの「Foreign Affairs」2007年1・2月号に、「AIDS援助プログラムには実に無駄が多い」と指摘する素晴らしい論文を書いたSenior Fellow for Global HealthのLaurie Garrettさん(写真4)に会うためです。私はこの論文に注目して、今年の5月に横浜で開催されるTICADにあわせて第1回の受賞式が行われる、小泉元総理の提案で始まったNoguchi Hideyo Africa Prizeの選考委員になっていただいたこともあり、そのお礼も兼ねて意見交換に来たのです。

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写真4 Laurie Garrettさんと




ニューヨークも暖かいです。この街には独特で不思議な魅力がありますね。

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写真5 NYCの街角で




続いてRockefeller財団を訪問です。Managing DirectorのDr. Ariel Pablos-Mendez(写真6)に会いにいきました。彼が主催した会議の報告書、「Pocantico II:The Global Challenge of Health Systems」に注目し、意見交換に来たのです。Rockefeller財団の会長、Dr. Judith Rodinからは、「どうしても時間が合わなくて・・・」、というメッセージが残されていて、残念ながら今回は会えませんでしたが、2週間後に行なわれるダボス会議で会えることでしょう。

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写真6 Dr. Ariel Pablos-Mendezと




Dr. Rodinは、1994年にIvy Leagueの大学で初めて女性の学長になった方です。私のアメリカでのキャリアが始まったPennsylvania大学の学長としてです。今では、Ivy Leagueの8校のうち、4校(Princeton、 Pennsylvania、Brown、Harvard)で、女性が学長をされています。日本はどうでしょう、私はくどいぐらい繰り返し発言し、プッシュしているのですけどね。

彼女の前のポストはYale大学のProvostだったのですが、何度か紹介していますが、現在のCambridge大学のDr. Allison Richard、MITのDr. Susan Hockfield等も、その前職はYale大学のProvostだったのです。偶然ですかね?これはYaleの人を見る目が素晴らしいうということでしょうか。

この日はNew Hampshire州でアメリカ大統領の予備選挙が行われ、クリントン候補がIowa州での負けを取り返し、Obama氏と1勝1敗になりました。初の女性大統領となるのでしょうか。

この2日間の訪問と講演の主な目的は、今年1、2月に東京で開催されるGlobal Health関係の会議(WHO、世界銀行、Gates財団、NPO医療政策機構、日本政府などが関与しています)への準備と、それらを通して、TICAD、そしてG8サミットへの広報とその準備という面が大きいです。

夜は、午前中に一緒だったDr. RubinsteinとDr. Berkeley、そして今年の夏に東京でお会いした、今はColumbia大学大学院、School of International and Public Affairsで勉強している中曽根君を呼んでSohoでディナー。彼はとても素晴らしい若者です。世界を目指して大いにがんばってほしいですね。名前から感じたかもしれませんが、そうです、中曽根康弘前総理のお孫さんで、お父さんは中曽根弘文参議院議員です。

9日の朝、JFKAirportから帰国の途につきました。


2008年1月10日 (木)

ワシントン、そしてニューヨークへ

1月6日、成田からWashington DCへ。去年と同じで結構暖かいです

午後、私たちの“Think Tank”、医療政策機構English)から同行してくれたジェームス近藤くんと、Holocaust Memorial Museumに行きました。企画も、建物も、よくデザインされています。なんてばかげたことをしたのかと感じますが、程度の違いこそあれ、今でも似たようなことが世界のどこかで起こっているのです。狂気の沙汰です。このような歴史資料、文書の保存、展示、開示は大事なことです。それでなければ何も学ぶことができず、同じことを繰り返してしまうのです。愚かなことですね。

翌日7日の午前は、National Academy of Sciences(NAS)での会議(写真1)。昼食はNational Academy内の会員専用サロン(国務省科学顧問のNina Fedoroff博士のご招待だったのですが、よく考えてみれば私もInstitute of Medicine(IOM)の会員なので、このサロンを使えたはずなのですが・・・)で、Fedoroff博士と有本さんとで、いろいろと相談ごとです。話しているとすぐにいろいろな方たちとのネットワークがつながります。

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写真1 左から、Goldin元NASA長官、National AcademyのCicerone会長、何度もご紹介しているAlexandria図書館長のSerageldin博士



この日は、ちょうどIOMの理事会があり、朝、会場の入口で旧友のVictor Zhau氏(「イノベーション25」の応援団としてお世話になっているDigital New Dealでおなじみの大阪大学の森下竜一さんの先生で、いまやDuke大学の医学部から病院の全てを仕切っている切れ者です)とばったり。また、ちょうど1年前に昼食を共にしたIOM会長のFineberg氏ともお会いしました。プロの友達はいいものです。

(ところで、先ほどのDigital New Dealで、「DNDパーソン・オブ・ザ・イヤー2007」に私が選ばれていました。)

また、12年もの間、National Academyの会長を務め、特に途上国への援助に力を注がれたBruce Alberts氏にも、去年10月以来ですがお会いしました。大学(UCSF)に戻ったけど少し退屈だったと言っていました。今年3月からは「Science」誌のEditor-in-Chiefになられるそうです。「これで有名になるね!」なんて冗談を言ってあげました。

午後は世界銀行へ。East Asia and Pacific RegionのVice President、James Adams氏、そしてScience and Technology Program CoordinatorのAlfred Watkins氏等とお会いし、講堂で彼らの司会の下、「Innovation for Development」の講演を約45分行いました。これもwebcastで見ることができます。新年早々でしたが、日本大使館等からも案内があったようで、かなりの日本の方が見えられていました。質問も多く、楽しかったです。

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写真2・3 世界銀行での講演の後で。(写真2の私の向かって左がWatkins氏。)




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写真4 世界銀行の出口で、日本大使館の江端さんと(江端さんは以前イラクのサマワにも赴任していました。)



夕方はBush大統領の科学顧問、Marburger博士を訪問しました(写真5、6)。その後またNational Academyへ戻り、National Academy of Engineeringの会長で、10余年に渡ってMITの学長を務めたCharles Vestさんとお会いし(写真6)、これでNational Academies 3部門全ての会長とお会いできたことになりました。

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写真5・6 Marburger博士の会議室で。(写真6は秘書のJoan Rolfさん。日本に2年ほどいたことがあり、日本ファンです。)




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写真7 左から、私、Dr. Goldin、Dr. Vest、有本さん




夕食の途中で失礼し、Ronald Reagan AirportからNew Yorkへ向かいました。

それにしても、忙しい一日でした。

昼の気温は18度程度、実に暖かでした。去年は20度を越えていましたけどね。温暖化ですね、確実に。


2008年1月 3日 (木)

科学技術と国家政策

去年の11月のblogでも少し触れましたが、11月16日に、朝日新聞科学部50周年記念のシンポジウムに参加しました。立花隆さんの基調講演と私も参加したパネルが行われました。ちょっと時間が少なかった嫌いもありますが、立花さんの話はさすがでした。この内容はアサヒコムで見ることができるのでアクセスしてみてください。


2008年1月 2日 (水)

Webcast、Stanford大学での講演

去年の師走にStanford大学で「Innovate Japan」という講演をしたことはご報告しましたが、この講演の趣旨も結局は新年1日のブログと同じにならざるを得ないといったところでしょうか。結局、日本は「自信のない男性社会」で、その社会では「女性、外国人」は入ることができないのです。この社会構造は「田吾作」社会であると、講演のQ&Aでは言っています。この講演はWebcastで見ることができます。どうしても日本の男性社会の「Establishment」、社会的責任ある「リーダーポストの方々」には、キツイところがあるのは致し方ないですね。お気を悪くしたのであれば、ごめんなさい。でも、どう思い、考えますか?

2008年1月 1日 (火)

行った年2007年、来た年2008年、日本はどこへ

皆さんにはこのblog等を通して定期的に報告していましたが、皆さんもそうでしょうけど、2007年は私も大変な年でした。「イノベーション25」のまとめ、それに関連した国内外の講演等々があったからです(*注1)。皆さんからずいぶん勉強させてもらいました。そして、9月12日には安倍総理の退任、新総理選出等の政変の近くで仕事をしていたわけです。一方で、この10年の日本の衰退はどうしたものでしょう。

注1:このサイトで、どこへどんなことで行ったのか、主要なものはお知らせしていますが、2007年の海外出張日数は出発日と帰国日をあわせて1日と勘定して87日ほどでした。ちなみに、2006年は約75日、2005年は約100日でした。

国内では「いざなぎ景気以来」とか、結構な景気づけの声も聞かれていましたが、本当のところはどうなのでしょうか。単なるデフレでそう見えるのでしょうか。サブプライムの問題を言う人もいますが、日本の場合はどの程度までが本当でしょうか。国際情勢とは反対に東証株価は下落で終わりました。日経新聞の年末シリーズ「越年する経済政策課題」(特にその4)は本質的な指摘が多くされています。要するに、精神的な鎖国です。志向も、行動も外へ出たくない、外と付き合いたくないのです。自信がないのですね。「内弁慶」の「男性社会」ということなのです。

「週刊 東洋経済」12月29日/1月5日迎春合併号の「10賢人が語る世界の大変革」で、私の意見(1月15日頃にこのblogにも掲載しようと思います)が出ています。この“10人”の根拠はわかりませんが、私というのはちょっとね・・・。でも、光栄なことです。日本のGDPは依然として世界第2位ですが、この10年でOECD諸国のGDPが増えているのに比べ、日本だけはGDPが増えていないのです。一人当たりのGDPは一時の世界第2、3位のあたりから、今や18位に。これはさらに落ちると予測されています。これでは国内に閉塞感があるのは無理ないことと理解できるでしょう。

この成長できない産業、経済はなぜでしょう。何をどうしたらいいのでしょう。ここに「カギ」があります。政界、財界、行政、学会、メディア等々、全ての社会構造の「リーダー」といわれる職責にある人たち、しっかりとしてください。いつまでも、精神的鎖国ではダメですよ。これは、このblogの底流に常にあるメッセージです。

グローバル社会では、国内外の格差は広がっていきます。最近のプロ野球ではメジャーに移籍する選手が増え、彼らの年俸を見ていれば、この「格差」は歴然としてはいませんか?国のGDP、つまり分ける「パイ」が増えなければ、貧困者が増えるのは理の当然です。これをどうするかは国家の役割です。相変わらず地方への同じ種類の公共事業というのは策がなさ過ぎます。雇用をどう守るのか、これも大事な政策課題です。従来の社会制度、例えば、年功序列、一生涯同じ企業勤めが常識という社会制度ではうまくいきません。なぜ、今まではうまく行ったのでしょうか?

最近の国際的ジャーナルに日本経済特集が出ましたが、時を同じくして、「週刊 東洋経済」12月第2週号では「iPod」の特集がありました。日本の「強さ、弱さ」を正確に指摘しています。林信行さんの「iPhoneショック」も素晴らしいです。また、多くのいわゆる国際派の方々の論評では、日本は急速に衰退しているという指摘が多いのです。その原因の指摘についてもみな同じです。

冨山和彦さんの2冊の本、立花隆さんの「滅びゆく国家、日本はどこへ向かうのか」、船橋洋一さんの「日本孤立」、ウォルフレンさんの「もう一つの鎖国、日本は世界で孤立する」、高城剛さんの「「ひきこもり国家」日本」、そして再び林信行さんの「iPhoneショック」などはそれらの典型といえましょう。結局は、最近注目された白洲次郎と、そのエッセイ集「プリンシプルのない日本」で指摘されているところが、基本的にそのまま続いているのです。

世界には日本びいきの応援団は大勢いらっしゃいます。皆、気にしているのです。特に「リーダー」といわれるような社会的地位の人たちはしっかりしてください。

さあ、2008年はどんな年になるでしょう。5月はTICAD、7月はG8サミットと世界の注目の的となる日本です。このグローバル時代、従来の社会経済構造ではいくつもあるでしょう「できない理由」は横において、どうしたらいいのか、何をするべきか、それぞれ一人ひとりが、「従来からの常識の枠を超えて」、「考え抜いて(「考える」では不十分です)」、「失敗を恐れず」、「行動する」ことです。私の持論でもありますが、Charles Murreyの「Human Accomplishments」にも明示されているように、いつも「時代の変人」が、時代を変えるのです。

さて、ここで2008年の宿題。2007年最大の明るいニュースは、京都大学の山中さんの遺伝子操作で生まれた新しい幹細胞「iPS」でした。これはどうしたらいいでしょうか?どうなるか注目して見て行きましょう。この設問は、私は、これこそが日本の基本的課題の一つの典型例だと思うからです。いずれまた議論いたしましょう。

2007年12月22日 (土)

環境、低炭素社会技術ヒートポンプ

イノベーション25でも提言しているように、日本の環境技術、低炭素社会への技術には素晴らしいものがあります。これらの技術はこれからの経済成長のエンジンとなり、国際貢献の中心になれるものなのです。ヒートポンプもその一つです。

学者の立場から多くを発言し、政府税調議長を務めるなど政策立案と実行に多く関与してきた加藤寛先生、そして大学改革をリードする東大の小宮山総長との鼎談が、12月19日の日経新聞朝刊に見開き2面にわたって掲載されました。これは記事広告ですが、なかなか意味のあるものでした。小宮山先生は省エネの見本のようなご自宅を建てています。これは本来、低炭素社会への政策誘導をすべき具体例のひとつで、住宅、ビルに当てはまる政策課題です。抵抗勢力はどこにでもありますが。

ヒートポンプ製造の90%以上は日本が占めています。このような優れた環境技術は、海外諸国へ売り込み、経済成長する発展途上国への技術移転や製品の売り込みを通して気候変動対策、低炭素社会構築への国際貢献を世界にアピールできる絶好の「ネタ」です。国内の市場は規制等で政策誘導、一方で海外へは国際貢献、外交手段として生かすのは政策の選択でもあります。

しかし、1960、70年代に活躍したSONYの井深さん、盛田さんのように、何が何でも世界一を目指して世界のどこへでも積極的に出て行く企業リーダーの高い志とイノベーション精神が大事です。技術は素晴らしいけど、それを社会的、経済的価値へ転換する戦略が、国内ばかりを見ていては、上手く立てられないのです。これは、最近紹介した海外のレポートでも指摘されているところです。いろいろと理由や理屈はあるのでしょうが・・・。


2007年12月12日 (水)

久しぶりのCalifornia-3、Stanford大学で講演

6日は朝からあまりぱっとしない天気。ポチポチと雨も。まず、Enhance Inc.のMs. Shizu Munekata(「シズさん」と呼ばれているのでしょうか?)とお会いし、いろいろなお話を伺いましたが、これもなかなか楽しいひと時でした。それからランチ。3年ぶりぐらいですが、バイオべンチャーでは伝説になりつつある金子さん梅田望夫さん「ウェブ時代をゆく」にも出てきます)、そしてblogや「ヒューマン2.0」などのワタナベチカさんと。みんな初対面のような感じがしないのも変な気分ですね。

ランチの後は、Silicon Valleyにベースを持つ循環器系バイオベンチャーの方とお会いしましたが、その会社の役員やらなにやらに共通の友人が何人もゾロゾロと出てくるのです。世の中、これが楽しいですね。どこで、誰に会うかわからない。そこから一人ひとりの評判が、いつの間にか広がり、ヨコ、つまり「フラット」な社会に定着していく。これがグローバル時代の「個人力」、そして「信用」になっているのです。誰がどうつながっていくかわからない。だからこそ気をつけましょう。いつも誠実に、真摯に、その都度自分のベストを尽くし、能力を磨くことです。

午後3時からProf. DasherさんとStanfordへ。歩く距離によって傘がいるかいらないかという、グズグズした雨になりました。彼のオフィスへ寄った後、4時過ぎから「アジアのイノベーション」シリーズの“トリ”で講演をしました。学生ばかりではなく、日本からの留学生や教員の方々、会場で何人も紹介されましたが、学外の方や、ご当地の著名な方も何人かおられました。

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写真1 セミナーの講堂でDasherさんと




セミナーですが、私の講演のタイトルは「Innovate Japan」です。日本人はまず、「天気が悪くて、でも来て頂いてありがとう」的な、言葉からして低姿勢で、そしてなんとなくあやまり言葉から話を始めるのか、というところから私の話をはじめました。話のポイントは、以前にもご紹介していますがこちらはウェブキャスト)、2006年2007年のNobel平和賞がグローバリゼーション時代のイノベーションブームの鍵を示しているということと、枠にとらわれない発想の源泉であるここSilicon Valleyが、いまや「クリーン、グリーンテク」のメッカ、「クリーン、グリーンバレー」になりつつあるということです。このセミナーはいずれウェブで見れるようになりますから、内容、質疑の様子などはその時までお待ちください。

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写真2 セミナーの後で、一部の参加者の皆さんと




しかし、このことこそが情報化時代の恐ろしいところですね。世界中で、誰でも映像で見ることができるのです。ここが本質的に「グローバル時代」の恐ろしいところなのです。講演録という文字よりはるかにインパクトがあり、「ナマ」と同じで隠せない。多くの場合ほぼリアルタイムで見れる、見える、知れる。「フラット」に誰もが見ていて、誰からでも見られるところで、あの人は誰?どんな人?何ができるの?どの程度に?ということが知れ、いつの間にか世界に広く知れ渡ってしまうのです。肩書きが通用しなくなっているのです。国境を越えた「個人力」の価値、これが私と石倉さんの本「世界級キャリアの作り方」でのメッセージのエッセンスと言えるものです。日本の社会での「エライ」肩書きの価値も、どの程度のものか、みんな世界に知れ渡っているのです。どこに行っても、何を言っても、これは隠せないのです。社会的地位の高い肩書きほど、「実力との乖離」があれば、グローバル時代にはそのひと個人、属している組織、そして社会、国家の信用にかかわってくるのです。

実は私も怖いですよ、見るのが。でも実はこれが勉強になるのです。人から、学生から、相手からフィードバックをもらう、自分で自分を見てみる。そこで学び、次に活かす。これが大事だと思います。自分を見つめ、そこから謙虚に学ぶ、次のステップへ向かう、という「自己研鑽」のプロセスです。

講演のあとは、いくつも質問が出ました。それも終わって、いつものようにみんなで、わいわいがやがやと(写真2)。日本の企業(主に大企業ですが)や大学から若い方たちも何人か来ていました。近所の高校から女性が一人来ていて、今度学校にも来て話してほしいといわれましたので、次の機会にとメールで返事しました。参加の皆さん、あいにくのお天気でしたが来ていただいてありがとう。皆さんに感謝です。

IMAnet の八木さんも来られていて、さっそくblogにこの日のことを書いてくれました。Thank you。


2007年12月11日 (火)

久しぶりのCalifornia-2、Palo Altoから、シリコンバレーの秘密

5日の夕方、2時間遅れたSan Francisco飛行場でGlobal Innovation Ecosystem 2007(GIES2007)でもご一緒したDeepak Bangaloreさん(“DB”と呼んでいます)とOxford大学に通う娘さん、ソウルで開催されたWorld Knowledge Forumでお会いしたPanasonicの星さんが迎えてくれました。そのまま、大急ぎでStanford大学のある町、Silicon Valley(SV)の「へそ」、Palo Altoへ。向かった先は「TiE」(The Indus Entrepreneurs)

この場所は、その名が示すようにいくつかの事務所がわさわさと入っていて、SVのVenture Capitalistsや起業家たちがたくさん集まっています。名のとおりインド系が主流でしょうか、広い人脈です。websiteを見れば、活動が日常的に盛んなことがわかると思います。

インド系の方が多いようには見受けますが、100人ほどのたくさんの人たちが集まって、テーブルを囲みワイン、軽食等々、意見や情報の交換会。明るく密談という雰囲気です。何人もの方を紹介され名刺交換、こんな極めてオープンな集まりが、ナント毎週2、3回も行われているそうです。すごいエネルギーですね。こんな活動が日本で考えられるでしょうか?毎回出ている人は一部かもしれませんが、起業家や研究者、そして投資家がわいわいとそんな頻度でこれだけ集まるなんてとても考えられません。これがSVの強さの秘密のひとつでしょう。世界中にこの「TiE」のネットワークが広がっています。これを組織し、提供するインドの強さもすごいですね。

この夜はStanford大学の理事長(Chair, Board of Trustees)で、Pioneer of Venture CapitalistといわれるDr. Burton McMurtryの話を、対談という形式で聞きました。素晴らしかったです。このような方々が常連なのですね。McMurtryさんにしても普通の人のようで、そんな方に見えませんでしたが、このような集まりを通じて、いろいろとVenture Capitalの情報を交換し、人材の指導や育成、起業戦略などのネットワーク作り、成果作りを考え、実践しているのです。このあたりにSVの成功の秘密があるのでしょう。きわめてオープンな、こんな「場」がいくつもあるのはすごいことです。

そこからはお先に失礼して夕食。DBと娘さん、星さん、日立の広瀬さん、マサ イシイさん(元McKinsey、SVに定着しているVenture Capitalist)、そして東北大学の会議から帰ってきたばかりのProf. Richard Dasher(今回のStanfordでの私のホストです)とご一緒しました。いやはや、沢山の話題で大いに盛り上がり、石井さんの奥様もこられて2次会へ。そこへ「TiE」の今晩のホスト、次期会長のVish Mishraさんも加わり、長い、しかし、楽しい、一日でした。


2007年11月26日 (月)

仙台市とFinlandは姉妹都市/国、高齢社会を討論、そして日本では女性の活躍は未だし

11月12日の週は、13日(火)にFuture Innovation Forum、14日(水)は英国大使館でSir Martin Wood賞授与式、15日(木)は生活習慣病について、連日講演する機会がありました。

仙台市はFinland国と連携しており、16日(金)には仙台で、両者主催による「高齢社会」をテーマにしたシンポジウムが行なわれました。お互いに悩みは大きいようです。在日Finland大使、仙台市長の梅原克彦さん(元経済産業省)もご挨拶にこられました。副市長の一人(3人いて、2人が女性です)の岩崎恵美子さん(医師で、Africaなどへも出かけていたそうです。市長がリクルートしたとか、素晴らしいですね)の司会で、私とFinlandの方が基調講演を行いました。日本では少子化、そして女性の社会進出も大きな問題なのですが、ちっとも動きがありません。女性の活躍に関しては、Finlandと日本は対照的です。

午後は東京で朝日新聞科学部50周年の講演会「科学技術と国家」に向かいました。立花隆さん基調講演「前門の虎、後門の狼」の後、パネルに参加。

翌日はまたまた仙台へ。東北大学が主催する「第6回男女共同参画シンポジウム」で、大隅典子さんのお招きですが、今までで男性の基調講演は初めてとのことです。パネルはそうそうたる方たちでした。有本建男さん(JST社会技術研究開発センター長)によると、東北大学初代学長の沢柳政太郎は、前例のなかった女性入学を認めるなどして、開学に当たって文部省からクレームもついたことがあったそうです。

東北大学では、Science Angelsなどといった女性研究者の応援プログラムがあります。今回もまた「第5回沢柳賞(東北大学男女共同参画奨励賞)」の発表と授賞式、そして第3回受賞者の発表などがありました。皆さん、素晴らしいお仕事をされていますし、晴れやかでした。皆さんおめでとうございます。このときの雰囲気は東北大学のサイトで紹介されています。楽しんでみてください。

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写真1 沢柳賞受賞の方々と

日本は人間開発(Human Development Index)、女性開発指数(Gender Development Index)はともに世界でもTop10(UNDPなど)に入るほど高いのですが、Gender Empowerment Indexになると、UNDPでは75ヵ国中43位。最近のWorld Economic Forumでは128ヵ国中91位なのです。女性の能力を生かせていないのは、本当に残念なことです


2007年11月22日 (木)

アブダビから-3、ドバイ、そして日本の環境技術

10月26日、Abu Dhabi、そして北京に滞在し、夜遅くに成田に到着しました。翌日は、宇沢先生の主催する講演会が行われ、楽しく土曜日を過ごしました。次の週は月曜日から金曜まで、いやはや忙しく過ごしました。そして、土曜日の早朝に再びAbu Dhabiへと出発です。

今度はまったく違った用向きで、日建設計が主催して、Abu DhabiとDubaiの2箇所で日本企業12社ほどが共同で日本の誇る環境技術の展示と紹介を行なったのです。私は科学者の視点から基調講演をしました。

しかし、10日の間に、再度Dubai空港、そしてAbu Dhabiに来ることになるとは、いろいろな偶然ではありましたが、私にも想像つかないものでした。

Dubaiに到着後、総領事公邸でレセプション。一泊した後、“10日ぶり”のAbu Dhabiへ。波多野大使、INSEADのAbu Dhabi校の事務局長等にもお会いし、ビジネス関係者、それから、先日の訪問時に日本人学校の生徒さん達と約束した日本のお菓子を、吉村校長先生から届けていただきました。夜には日本の優れた環境技術の見事な展示とビデオでの新しい都市づくりの提案の紹介等があり、その間に皇太子殿下との会見などが入ったこともあって、遅れてご挨拶の講演をしました。皇太子殿下はお話を聞いていてもとても聡明で、教育にもっともっと力を入れたいとのご認識を持たれていました。現地の子供たちを日本人学校に入学させて学ばせているのも、このようなお考えの一部で、同じ考えを持たれている波多野大使にとても感謝されているようでした。

しかし、この時期のAbu Dhabiは過ごしやすい天候ですね。Los Angelesみたいです。

Img_0884写真1 Abu Dhabi Golf Clubで、左から私、波多野大使、INSEAD Abu Dhabi校Peter Jadersten事務局長、友人の野村さん、斉藤さん

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写真2 Abu Dhabi Golf Clubで、私と斉藤さん




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写真3 大使公邸前で、左から斉藤さん、野村さん、私




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写真4 大使公邸の庭のテラスでオムライスのご馳走。左から、是永さん、私、余路さん、波多野大使、斉藤さん、野村さん



日本の石油輸入の25%がAbu Dhabiからですが、一方でここではMASDARという、クリーンエネルギーを使ってCO2を排出しない、究極の未来の街づくり計画があり、とても意欲的に取り組んでいます。講演でもこの意欲的なプロジェクトについて言及しました

※ 講演原稿
Planet in Peril: Nation with Clear Vision as a New Global Leader of Sustainable Urban Development, Abu Dhabi and the United Arab Emirates

翌日のDubaiで行った講演では、少し内容は変えていますが、最近、やはり意欲的なプロジェクト「Enpark」が発表されていることについて言及しました。

6日の夜、成田に到着です。


2007年11月 1日 (木)

世界に発信するイノベーションを目指せ

万有製薬株式会社 デビッド・アンスティス社長とのインタビュー記事が日本経済新聞に掲載されました。

 世界に発信するイノベーションを目指せ


出典: 日本経済新聞 2007年10月18 日(朝刊)18 面


2007年9月13日 (木)

"Japan Picks Up the 'Innovation' Mantra"

Science Magazineに掲載されたインタビュー記事です。

 "Japan Picks Up the 'Innovation' Mantra"


出典: Science Magazine(2007年4月13日)


2007年8月26日 (日)

イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-

2007年5月23日に開催された、第41回「JATES通常総会」での特別記念講演の内容です。

 イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-


出典: 「技術と経済」(2007年9月号)


2007年8月21日 (火)

「イノベーション」で日本を変える

社団法人 関西経済連合会「産業・科学技術委員会」(2007年5月14日)で行なった講演の内容です。

 「イノベーション」で日本を変える


出典: 経済人(AUGUST, 2007)


2007年8月 8日 (水)

天城学長会議から

毎年7月の終わりに、伊豆の天城で大学学長会議が開催されています。

今回は担当幹事の東海大学高野学長、東京工業大学相沢学長のお招きで、1日目の午後の基調講演に参りました。2日目の朝の基調講演は、JR東海の葛西会長がされるそうです。一般的には、私たち二人は意見がかなり対立していると思われているかもしれませんが、面白い組み合わせと思います。実は葛西さんとは個人レベルでのお付き合いもあって、二人ともどちらかといえば「歯に衣を着せない」ほうですし、歴史観も、哲学も明晰で(とにかく沢山の本を読んでおられる)、気骨のある方として意気投合しています。ですから、葛西さんたちの音頭とりで始まった「海陽学園」という6年一貫、全