« 2007年7月 | メイン | 2007年9月 »

2007年8月

2007年8月31日 (金)

ヘルシンキから

フィンランドに関しては、1991年にソ連が崩壊し、この国が一番ひどい状態だったときに大統領を務めたAhoさんとの付き合いがあります。この春に、ご本人から突然の電話があり、彼がPresidentを務めるSITRAが毎年開催している会議に参加して欲しいという要請でした。もちろん喜んでお引き受けしました。6月にはSt. Petersburgの会議でもお会いした、世界のリーダーのお一人です。今回は、その会議でHelsinkiにきました。

写真1  ホテル前の公園で
Helsinki001






















Helsinkiは国際生理学会以来ですから10数年ぶりでしょうか。当時は宮川さんが大使をされていて、松田さんがDenmark大使でした。お二人は私がUCLA在任中にLos Angelesの総領事だったこともあり、知己を得ていただいていましたので、両方にお誘いを受け、お邪魔したのでよく覚えているのです。Helsinkiは落ち着きのある、きれいな街です。この辺りは大きな岩が目立ちますね。人口はHelsinki市内で50万、郊外を入れて100万ということです。到着した夜は本田大使のお招きで、坂元一等書記官と大使公邸での会食でした。

翌日は、6月27日のブログで紹介した「Global Innovation Ecosystem」のワークショップに参加のため、6月に1ヵ月ほど、ご家族(奥様とお子様2人。奥様はプロのバレーダンサーで、今は民族的背景を学びながら創作舞踊に携わっているそうです。)で東京にいらっしゃったTeppo Turkkiさん(写真2)と一緒に、芸術、デザイン、演劇を教えているUniversity of Art and Design HelsinkiThe Theatre Academyを訪問しました(写真3)。Finlandの人はデザインや演劇等の活動がとても好きらしく、大事にしているそうす。とても人気があります。大学の授業料は無料で、これは留学生でも同じことだそうです。恵まれた環境ですよね。日本や中国、韓国からの学生もいるそうです。

Helsinki002写真2  Turkkiさんと







Helsinki003写真3  アカデミーの学長さんと(勿論、後ろのポスターが話題になりました)






ところで、Teppoさんは日本訪問の報告をいくつかSITRAのウェブサイトに掲載しています。最近のものはまだFinland語なので、読めないのがちょっと残念です。英語でも読めるように、お願いしておきました。最近のマンガ「クール」など、日本の文化について本も書かれていますが、これもFinland語です。

夕方からは明日の会議の打ち合わせ。今回のテーマが「アジアとの課題: India, China, Japan」で演者がDr. Ramasami(Secretary to the Government, Department of Science and Technology)とDr. Jun Yu(Beijing Genomics Institute, Chinese Academy of Sciences)、そして私でした。

夜は、船で5分ほどのところにある島のレストランで、夕日を見ながらの楽しい夕食となりました(写真4~6)。10センチほどの茹でた“ザリガニ”が出ましたが、Ahoさんに扱い方を教わって、8匹ほど“捌き、頂き”ました。

NokiaのDr. Erkki Ormalaさん(Vice President of Technology Policy)も一緒でした。携帯電話の世界シェアはNokia 38%、Motorola 14%、Samsung 13%、Sony-Erikson 11%で、日本のメーカーは10数社合わせても一桁です。しかも、通話料金は日本が一番高いのですね。どこに問題があるか分かりますか?本当に考えさせられますね。

Helsinki004写真4  レストランでAhoさんと







Helsinki005 写真5・6  レストランから見た外、そして夕暮れ






Helsinki006









翌日の午前中はHelsinkiの街を案内していただきました(写真7~10)。午後に始まった会議では、まずトップに30分ほどお話し、他の2人の講演を聞きました。飛行機の時間があったので、その後のパネルは失礼して飛行場ヘと向かい、帰路につきました。皆さん喜んでくれたと思います。

会議の内容は全てSITRAのウェブサイトで見ることができます。もうウェブキャストで見られるのですから、早いですよね。情報時代のインパクトを感じます。これを利用するかどうかが勝負ですね。これが私のメッセージです。

Helsinki007写真7  歴史的長距離ランナーのヌルミ像のまえで(Olympic長距離で9つの金、3つの銀メダルをとった伝説のランナーです





Helsinki008写真8  シベリウス像と記念モニュメント







Helsinki009 写真9  岩窟を掘った教会







Helsinki010 写真10  街の中心の広場にあるカテドラルの前で






翌朝、関西空港経由で羽田に到着し、午後から文部科学省の「World Premier International Research Center(WPI) Initiative」のヒアリングに参加しました。夜はドイツ大使館で来日中のMerkelさんとの夕食でした。明日もWPIのヒアリングが続きます。


2007年8月30日 (木)

再びシンガポールから

8月9日の夜にニューデリー発ち、10日の朝、シンガポールに到着しました。4月に続いて、シンガポールの科学技術のセンターといえるA*STAR4月のブログでも紹介しています)の、年に3回開催される理事会です。

インドから到着した日はちょうどシンガポールの建国記念日で、夜には盛大な祝賀会、大掛かりなショーがありました。ホテルからも一部みえましたが、テレビでもライブで放映していました。

翌日がA*STARの理事会でしたが、みな国際的なリーダーばかりで、議論は白熱しました。皆さん本気で若く素晴らしい人材を育て、選抜し、国際的なリーダーにしたいという気持ちで溢れかえっていて、ちょっと日本では考えられないようなオープンで建設的な意見交換が行なわれます。国ができるだけそれらのうちの優れた提言を実現しようと対応するので、様々なプログラムの進捗状況や評価などもオープンで、建設的で、刺激的。したがって素晴らしい理事会だといえます。勿論、事務局が資料をそろえるのですが、あくまでも理事会の議論を踏まえて、どんどん進めていこうという政府の強い意志と実行力が感じられます。どこかの国とはかなり違います。

先日、東京で一緒だったGates財団のDr. Yamada(4月20日8月16日に紹介しています)や、今回初めてですがMotorolaのCTO、Ms. Padmasree Warriorさん(インドの方で、あの有名なIITを卒業されています。)にもお目にかかれました。先日紹介したGlobal FundのRajat GuptaさんもIITの卒業生だったので、話が弾みました。

しかし、国籍を問わず、優秀な若者を呼びよせ、若い人たちが活躍する場を作ろうという議論の躍動感はたまらないものがありますね。こちらも力が入ってしまいます。

11日の朝に成田に着きました。


2007年8月26日 (日)

イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-

2007年5月23日に開催された、第41回「JATES通常総会」での特別記念講演の内容です。

 イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-


出典: 「技術と経済」(2007年9月号)


2007年8月21日 (火)

「イノベーション」で日本を変える

社団法人 関西経済連合会「産業・科学技術委員会」(2007年5月14日)で行なった講演の内容です。

 「イノベーション」で日本を変える


出典: 経済人(AUGUST, 2007)


2007年8月20日 (月)

ニューデリー、インド厚生大臣の国際諮問会議へ

前回はGates財団とDr. Yamadaの話を報告しましたが、その翌日5日にはNew Delhiへ飛びました。

今回の訪問は、3月に紹介したJeffrey Sachs教授達と、6日、7日の2日間に渡って開催されるインド厚生大臣の国際諮問会議の一員としての訪問で、農村部の保健医療行政(Rural Health)についてのヒアリングと意見交換が主な目的です。

このプログラムとパネルのメンバーはMV Projectのサイトの“Agenda and Meeting Presentations”のとおりですが、私の事務所の坂野(ばんの)君(写真1)も参加しました。彼は9月からHarvardのSchool of Public HealthのMaster courseへ留学しますが、その直前に世界の各分野を代表するトップの方々に会うことができた、と言って喜んでいました。

Sachsさんの本務はColumbia UniversityのThe Earth Instituteの所長です。近々また本が出版されるそうですが、本当によくがんばりますね。すごいエネルギーです。

諮問会議では、Mrs. Sachs(写真2:3月13日のブログでも紹介しましたが、Nobel医学生理学賞のPaul Ehrlichは彼女の大叔父さん。Ehrlichの弟子の秦佐八郎が感染症(スピロヘータ)に効く初めての人工化合物“salvarsan”を発見したのです)や、去年のDCPP 2nd edition「世界の健康政策」(2006/4/2))をDean Jamisonとともにまとめ、その発表の時に北京でお会いしたDr. Jaime Sepulveda(写真3:「ナイロビから ~立派なリーダーを知ること」(2006/6/30)でも紹介した、前厚生大臣のJulio FrenkとともにMexicoの医療政策のブレインです)にも久し振りにお会いしました。ちなみに彼は8月からGates財団に移るそうです。

また、つい最近「Global Fund」の理事長に選出された元McKinseyのRajat Guptaさんに会えたのもよかったです。(Global Fundは2000年の沖縄サミットで日本の提案によって設立されました。ここでも日本のイニシアティブは素晴らしいのですが・・・)

しかし、貧困で電気もろくにない困難を乗り越えようと、よくがんばっていますね。私と一緒にWHOのCommissionerをしているMirai Chatterjeeさん達が考えた、ASHAという村での女性の活躍を支援するプログラムはずいぶんと成果をあげているようです

翌日は朝から5時間ほど厚生大臣のDr. Ramadossと議論をしましたが、細部まで本当によくご存知で感心しました(写真4、5)。それもそのはずで、医師ですが、もともと農村の保健衛生をテーマとしていて、若干37歳で厚生大臣に就任し、今年で3年目です。経済成長も見込めて予算も増えていくでしょうから、課題は山積みですが、時間はかかっても、いい方向に動いていくと思います。

ところで、インドでは32州のうち8つの州で(もっと広い範囲だそうですが・・・)、水に含まれるフッ素の量が多く、中毒者が数百万人いると言われています。また3つの州では水からの砒素中毒が多いということで、これは本当に悲惨なことです。砒素といえばBangladeshでの中毒がよく知られていますが、同じ原因ですね。

9日、夜の便でシンガポールへ向かいました。


Wefsporeindia01_2



写真1: 坂野君、Dr. Roger Glass(NIH Fogerty Intl Center)、私




Wefsporeindia02



写真2: Dr. Sonia Erhlich Sachs、Mrs. Joanna Rubinstein(NY Academy of ScienceのEllis Rubinsteinの奥さんで、J. SachsのChief of Staff)、そして私


Wefsporeindia03



写真3: 左から、Dr. Glass、 J. Rubinstein、J. Sachs、J. Sepulveda、(?)、そして私



Wefsporeindia04



写真4: 左から、私、R. Gupta、(?)、厚生大臣




Wefsporeindia05



写真5: Columbia U. The Earth InstituteのN. Bajpai、私、J. Sachs

2007年8月16日 (木)

ゲイツ財団、Dr. Tachi Yamada、そしてアフリカ支援を

皆さん、Gates財団(Gates Foundation)のことを知ってますよね?あの世界一お金持ちのBill Gatesが大きな基金(4~5兆円ほど)を作り、世界のエイズ、マラリア、貧困などの撲滅に大きく動きはじめています。このプログラムはGlobal Health Programといわれるもので、去年は世界第2位のお金持ち、Warren Buffetがこの基金に大きな寄付(3~4兆円ほど)をして世界中の話題になりました。Gatesは来年にはMicrosoftを辞め、こちらに活動の拠点を移す予定だそうです。

Global Health Programの初代代表は、NIH National Cancer InstituteのDr. Richard Klausner所長でしたが、去年、私の長年の友人であるDr. Tachi Yamadaが代表に就任しました。私とTachiは、彼が1977年にUCLAに来た時から30年来の友人で、日本の消化器病分野で多くの人材を育てる手伝いをしました。何年か前のことですが、日経に掲載された私の「交遊抄」で彼を紹介しました。私がUCLAから日本に帰国した翌年の1984年に、彼はMichigan大学の教授となり、その後は内科主任教授(Chair)、さらに企業へと移り、これがこの後に合併で世界第2の製薬企業GSKとなり、R&Dのトップとして活躍。去年6月にGates財団のGlobal Health Program代表に就任しました。彼とは4月にもSingaporeで一緒でした

今回、彼を招聘して、日本がアフリカ支援等にどう協力できるかなどの意見交換の会合を持ちました。このサイトでもいろいろ紹介していますが、日本はアフリカへもずいぶん貢献しているのです。ただ、広報戦略が下手なのです

Tachiがインドから成田に着くなり、8月3日の午後、東京で会議を開催しました。来年は、TICADやG8サミット等々、日本が国際的にも大いに注目と期待されるわけですし、いいタイミングと考えたのです。日本政府と一緒にTICADを支援する世界銀行、JICA(国際協力機構:Japan International Cooperation Agency)JBIC(国際協力銀行:Japan Bank For International Cooperation)、外務省、日本国際協力センター、またBedNet(Olyset Nets)でアフリカのマラリア撲滅で世界的に大きな貢献をしている住友化学の米倉社長(3月13日5月29日にもご紹介しています)等々にご参加いただいて、大変に有意義な意見交換となりました。

翌4日はTachiと昼食、これには私の友人の渋沢健さんに参加いただきました。夜は久し振りに家内と、Tachiがはじめて会う私たちの孫娘と一緒に4人で、古くから白金台にある、由緒正しいお蕎麦屋さんに行きました。この25年ほどはどうしても仕事上の付き合いばかりになっていましたので、久し振りに、まったくのプライベートな楽しいひと時を持ちました。

彼は一年の50%は海外だ、といっていました。アフリカ、インド等々、世界中です。私は25~30%ぐらいでしょうか。お互い忙しいね、という話になりました。このあと、Tachiは3日ほど滞在して、主要な方々との面会があったそうです。私は5日からインドへ出発しました。


再度、朝河貫一先生 「驕る日本」と闘った男のこと

朝河貫一先生については、その名著「日本の禍機」を「リーダーに不可欠な歴史観、世界観、志」というタイトルの書評で、池上映子さんの「名誉と順応」、MITのジョンダワー教授の「敗北を抱きしめて」とともに紹介しています。このとき初めて朝河先生を紹介しましたが、それ以来、このサイトで何度も朝河先生のことを紹介しているので、“サーチ”してみてください。

本当に素晴らしく立派な方で、日本人として初めて米国の大学教授になった、Yale大学の歴史学者です。2005年は日露戦争終結、ポーツマス条約の締結から100年ということで、日本でも朝河先生に関する記事がそこかしこに見られました。朝河先生についての本はAmazonなどで調べてください。また、GoogleやYahoo!を使って朝河先生についていろいろ調べてみてください。

今年、Yale大学で開催された朝河先生に関するシンポジウムについて先日ご紹介しましたが、朝河先生のことを学術的な視点からご紹介されている矢吹先生の講演が、学士会会報に紹介されていました。私は、朝河先生が「日本の禍機」に先立つこと5年の1904年、日露衝突のさなかにこの衝突での日本の正当性を説かれた「日露の衝突Russo-Japan Conflict」という英語の論文を(多分そうだったと思いますが)、横浜市立大学の矢吹教授のサイトで見つけて読んだ記憶があります。

なぜ、また朝河先生なのか。それは今の日本の状況が100年経っても本質的にちっとも変わっていないと考えるからで、今の日本をめぐる状況がある意味ではよく似ているようにも感じられるからです。今のようなグローバル時代にあっても、当時の朝河先生のような、「「驕る日本」と闘った男-日露講話条約の舞台裏と朝河貫一」(清水美和著)や、「最後の「日本人」-朝河貫一の生涯」(阿部善雄著)にみるようなリーダー、そして学者も見当たらないように感じるからです。大体、学者の世界はより高い立場で、このような時にこそ、権力、政府、国民にもっと発言しなくてはいけないのです。

朝河先生のような方はめったに現れるわけでないことはよく理解できます。しかし、いまの大学は何かといえば、大学は稼げとか、研究者の「インセンティブ」といえばお金の話ばかり。そんな卑しい人ばかりではありません。そんなことばかり言っている世の中に、誰が学校の先生になろうと思うでしょうか。ものさしは「お金で測れる」ことばかりなんて何かおかしいと思いませんか?学校もみんなで支え、先生を応援してこそ、子供たちも元気になるのです。これが教育の本質です。

この“朝河テーマ”については、20年前から基本的に同じことを何度となく発言・発信していますので、また考えてみてください。

学士会会報で同じく紹介している伊東さんの話も、いままで“大学入学試験へ向けた偏差値教育”でうまくいっていたと感じていたが、グローバル時代に明らかに転換期にある世界とその中の日本社会の、あまりに認識されていない根源的な問題について触れていると思います。

2007年8月15日 (水)

イノベーション25追記 「イノベーションの源」

イノベーション25の策定期間中、大変多くの方からご支援を頂きまして有難うございました。その間には、このサイトや出口さんのDNDでも、応援や意見交換の場を設けて頂き、大変嬉しかったです。これからは、いろいろと大小さまざまな障害はあるでしょうが、皆さんと日本の、グローバル時代における「世界の日本」に向けた将来への指針として、活用され、実行されることを祈るばかりです。

イノベーション25についてはこのサイトでもその時々にご案内し、いろいろなところでも発言してきましたが、科学新聞の中村記者によるインタビュー記事が、「真善美への挑戦-イノベーションの源」というタイトルの5回シリーズでScience Portalに掲載されましたので、ご案内します。


「真善美への挑戦―イノベーションの源」

 第1回 「イノベーションは創造的破壊」
 第2回 「社会変革をもたらすものこそ」
 第3回 「地球規模の課題にこたえる」
 第4回 「出る杭を増やす」
 第5回 「中学生から海外との交流を」


最近様々なblogを拝見しますと、日本はやはり鎖国をして、ユートピアのような、それなりに豊かな生活ができれば結構ではないか、という意見も結構あるようです。私がいつも言っているように、確かに多くの日本人は基本的には「鎖国マインド」で、悪く言えば「島国根性」ですからね(この由来等については「WEDGE」の書評で岸田秀さんの本を紹介しています)。

しかし、これからの若い人をそんな価値観で囲い込むのはよくないです。若いうちに広い世界に出てみる、接してみる、多くの友人を作る機会を与え、その上で鎖国しようという人が出てくるのは結構。でもね、これからの若い世代の皆さんの将来に対して、たとえばメジャーの野球を、テレビでも、現実にも見せることなく、「プロ野球は日本がいいのだ、余計なことを考えるな」なんて言う権利は大人にはないと思います。

広い世界で多くの選択肢を示し、体験させ、その上で一人ひとりが自分で選択していくのが人生ではないでしょうか。テレビのライブ放映ができる時代に野茂という「破壊者」「イノベーター」が出たからこそ、いまのイチローも、松井も、松坂もいるのではないですか?それがいやなのでしょうか?彼らが憎らしいのでしょうか?違うでしょう。日本人として誇りに感じる人のほうが多いのではないでしょうか?どの世界でもそうなのです。

やはり鎖国というわけにはいかないでしょうね。


2007年8月10日 (金)

経団連、東富士の夏のセミナーへ

7月26・27日と静岡県小山町で経団連の幹部40人ほどが集まって開催された、第6回東富士夏季フォーラムで、高等教育というテーマでお話をさせていただきました。私の前は、初等中等教育で教育再生会議副座長の資生堂 池田守男会長のお話しでした。今回の担当幹事は、前にも紹介した住友化学の米倉さんだったのです。

私は、まず日本の大学進学率の1955年から2005年への変遷を示し、グローバル時代の世界の大学の動向、日本の大学と社会の課題等について話しました。後は、産業革命以来の現在は第4の波が飽和しており(Freeman/Perez等の分析)、第5の情報革命の波が2000年のIT バブルのあとで、アメリカで産業の成長とどのように関わってきているのか、Jorgenson教授のデータRedHerringのカンファレンスでも使いました)などを示しながら話させていただきました。

ITの急速な普及における新たなパラダイム“Demand-driven Innovation”では、「Wii vs PS3」とか、1990年代の日本の「DRAM」崩壊等の話も具体例として出しました。ご出席されていた日立の古川社長やSONYの中鉢社長にはちょっとお気の毒だったかもしれません。

議論は活発でしたが、日本の博士の企業採用の課題等、これらについては御手洗会長始め何人もの方が発言されましたが、本当になかなか難しい問題です。トヨタの張会長とはSt. Gallen、そしてSt. Petersburg以来でした。

夕食では毎年ダボス会議でご一緒している野村ホールデイングの氏家会長のお隣で、Goldman Sachsの新エネルギー投資等についてお話しました。

このセミナーには経団連幹部とそのスタッフ、また担当記者諸君も陪席していました。

皆さんにがんばって欲しいてすね、何といってもイノベーションは産業界の課題なのですから。夜は帰京しました。


軽井沢トップ・マネジメント・セミナーへ

7月13日に軽井沢で行なわれた、軽井沢トップ・マネジメント・セミナーのパネルに参加しました。パネルのメンバーは江崎玲於奈先生と私、さらに司会をかねてSophia Bankを藤沢久美さんと切り盛りしている、多摩大学大学院教授の田坂広志さんの3人で、テーマは「イノベーションと人間力」です。要旨の報告書は近いうちに上記サイトに掲載されるでしょう。

江崎先生はどなたもご存知だと思いますが、田坂さんはというと、たくさんの著書もあり、ご自身のサイトブログなんかもされていて、とても発信量の多い方です。「イノベーション25会議」でもご意見を伺おうと、ヒアリングに来ていただきました。藤沢久美さんとSophia Bankという活動を通して、社会起業家の活動を支援していらっしゃいます。素晴らしいですね。「イノベーション25」の中間報告でも、これからの「社会起業家」の重要性を指摘しています。先日、日経でもシリーズが出ていましたね。

同じ日に行なわれた特別講演は、久し振りにお会いする、去年神戸大学から政治学の防衛大学校校長に就任された五百旗頭真(いおきべまこと)先生でした。Wikipediaにも出ている著名人です。日本学術会議でも、私が会長のときに会員として国際会議とかいろいろとお世話になりました。本当に面白いお話を聞かせてくれました。毎月、学長の講義もされるそうです。素晴らしいですね。特に日本が100年前の日露戦争で勝利した後のアジア戦略は、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の、かん陀多(かんただ)と云う男と同じだ、との比喩が印象に残りました。


2007年8月 8日 (水)

RedHerring、そしてSteve Jobs

RedHerringの名前を知っていますか?

シリコンバレーでは有名なメディアです。これが、今回初めてなのだそうですが、日本のそれも京都で、7月22日~24日の2日間、カンファレンスを開催したのです。ベンチャー起業家とベンチャー投資家たちが集まりました。私は「イノベーション」というテーマで講演をという依頼があって参加しました。プログラムや、講演者、パネルの内容の一部はRedHerring Japan 2007のサイトで見られます。私としてはこのよう集まりで話をするのが初めてなので、どんな人たちが来るのかということもあって、1日目から出かけました。元KDDIの千本さんや(6月にSt. Petersburgでお会いしました)、元ソニーの出井さん(4月にCamargueからでも紹介しました)は存じ上げているのですが、せっかく話をさせてもらうのですから、第一にどんな方たちに話すのかを知っておくことは、こちらとしては大事なことですから。

参加者は150人ほどでしょうか。半分は日本人、残りはいろいろでしたが、みな若い。日本人の70%はシリコンバレー組。外国人の半分は日本をベースにした人たちで、韓国などからのシリコンバレー組も多かったです。ほとんどがICT関係のベンチャーで、バイオ関係者は少なかったです。

SwedenのFredrick Harenさんは“Creativity, Innovation”といったテーマで、実にユニークな、インパクトのある話をされました(ある意味でとんでもない人と思われているかもしれませんね)。「New Ideas」という本を出版したとか紹介されていましたが、後ですっかり意気投合してしまい、この本を少々持ってきたので差し上げますね、とかでもらってきました。私も「変な」人とはすぐ気があってしまいます。根がDon Qixote同士なのでしょうかね?変な話ですが。

そんな調子ですから、皆さんの話を聞きながらスライドをとっかえひっかえ。最終的には先日のGIES2000、そして6月のWorkshopでのJorgenson教授のスライドの一部を使ってお話しました。これはJorgenson教授の最近の著書、「Productivity: Information Technology And the American Growth Resurgence」(MIT Press, 2005)にも出ている資料を更に新しくしているものです。この本は2000年のIT バブル崩壊後の米国の産業成長とIT関係企業の成長を知るのに絶好の本です。皆さんも、産業界の方も、政策の方も、大学人もしっかり読んでください。このような本が大学から次々と出てくるところにも米国の力を見て取ることができます。私の講演の最後は、Appleを創業したSteve Jobsの2005年のStanford大学卒業式での講演からのメッセージで締めくくりました。以下のようなものです。

1) you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something...
2) You’ve got to find what you love. Don’t settle.
3) Death is Life’s change agent.
4) STAY HUNGRY, STAY FOOLISH!

これらの意味を理解するには、上に掲載したサイトで彼の講演をしっかり読むことです。感じ取ってください。メッセージがすばらしいと感じました。こんな講演を卒業式で聞けるなんて、うらやましい。ところで、今年のHarvardの卒業式ではBill Gatesがスピーチをしていますが、これも心を動かす内容です。彼らの実体験から出る言葉は、何にもまして強いです。

私が講演をこのスライドで締めくくったので、司会をしていたRedHerringの社長 Alex Vieuxがすっかり喜んでくださり、彼なりの話を付け加えてくれました。嬉しかったです。

ここの参加者は私が普段お会いする日本のビジネスマンとは違っているのは明らかで、仕事を楽しみ、若く、活発で、どんどん発言し、めげず、英語で上手下手も関係なくしゃべる、という典型的な日本人には当てはまらず、なかなかよかったです。

石倉洋子さんのお友達の岡島悦子さんとか、いろんな方にも会えてよかったです。パーティーなど、その辺の状況はhttp://v.japan.cnet.com/beatproject/blog/story/0,2000071498,000241c-0000019673o,00.htmで見ることができます(なんと私の写真もありました)。


天城学長会議から

毎年7月の終わりに、伊豆の天城で大学学長会議が開催されています。

今回は担当幹事の東海大学高野学長、東京工業大学相沢学長のお招きで、1日目の午後の基調講演に参りました。2日目の朝の基調講演は、JR東海の葛西会長がされるそうです。一般的には、私たち二人は意見がかなり対立していると思われているかもしれませんが、面白い組み合わせと思います。実は葛西さんとは個人レベルでのお付き合いもあって、二人ともどちらかといえば「歯に衣を着せない」ほうですし、歴史観も、哲学も明晰で(とにかく沢山の本を読んでおられる)、気骨のある方として意気投合しています。ですから、葛西さんたちの音頭とりで始まった「海陽学園」という6年一貫、全寮制の男子校の応援もしているのです。人材育成は国家の根幹ですからね。

しかし、この学長会議の最近5~6年の議事録や基調講演などを見てみると、問題点の認識と、課題はすべて議論されつくしていると思いました。最近の大学の状況、社会の変容、グローバル時代の世界の大学をめぐる大きな流れの変わり様、具体的な動きなどについてお話しましたが、私の主張はこのブログを読んでいただいている方にはおなじみのことと思います。

問題は、それぞれの大学で学長という立場の人がどんな決断をして、それを実行するかにかかっているのです、と申し上げました。皆さん問題は十分に分かっておられるのですから、どのようにして自分の信念を実現していくかにかかっていると思います。もちろん難しいがあることも十分に理解しています。それでも、実践していくこと、これこそがリーダー、責任者に求められていることではないでしょうか。学長という立場は評論家でいられるはずがありません。

学長の先生方にはこのことを理解してもらった上で、この会議が終わるまでに一人一人が今年中にやることを紙に書いて約束し、来年のこの会議でどこまで実行できたかを検証することをお勧めしました。そうでもしないと、いつまでたっても前進しませんからね。将来を担う若者たち、学生さんがかわいそうだと思いませんか。

学長先生方、ご苦労様です。でも仕方ないですね、これがお仕事ですから。

講演録はこちら


2007年8月 6日 (月)

新健康フロンティア戦略

先日紹介しました「医療白書 2007年度版 医療崩壊から、再生への“新しき潮流”-日本の医療を救う国民の選択」から、私が書いた部分を一部見られるようにしました。下記よりPDFをダウンロードしてみてください。

 第2章 健康国家の将来像を提示する「新健康フロンティア戦略」


2007年8月 1日 (水)

『医療白書 2007年度版』が出版されました。

「医療白書」は私が代表理事を務める日本医療政策機構が編集して、毎年出版している本です。

2007年度版では、医師不足、看護師不足といった加速する「医療崩壊」の問題から、医療財政と医療費(診療報酬改定)、がんと生活習慣病対策、動き出す地域医療など、日本の医療の“今”を読み解くテーマ・課題を検証しています。

国民は医療従事者や医療制度改革に対して何を求めているのか、医療従事者自身は医療に何を求めているのか、その問題解決の選択肢としては何があるのか——政権・与野党トップをはじめ、キーパーソン、有識者による提言、現場からの実践例を通して、皆さんが医療を自分自身の問題として真剣に考えるための材料となればと願っています。


『医療白書 2007年度版』
医療崩壊から、再生への“新しき潮流”-日本の医療を救う国民の選択

Iryohakusyo2007


編集:日本医療政策機構
発行:日本医療企画
体裁:B5判・並製、本文352ページ・2色刷
定価:4,800円(本体4,571円+税5%)
発売日:7月16日
ISBNコード:978-4-89041-769-8


【主な内容】
第1部 2006-07年度 日本の医療における問題点と新しき潮流〈5つの主張〉
第2部 医療政策に関する2007年世論調査
第3部 トップが語る、医療政策の課題
     2007年度の最重要医療政策/主要政党 政策部会長・厚生労働部会長インタビュー
第4部 2007年度 日本の医療の「論点」
     医療財政と医療費(診療報酬改定)/医療提供体制の整備
     医療人材の確保・育成/がんと生活習慣病対策
第5部 動き出す地域医療
     地域の時代と医療政策/ケーススタディ——地域医療の3タイプ
     都道府県・医療指標別ランキング
第6部 〈資料〉日本の医療2007年の情報源
     医療政策のための基礎データ/医療関連情報を知るための主な機関の連絡先
     医療関連学会その他の日程/医療改革カレンダー2007-08年


language

2008年7月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
フォトアルバム

search

sponsored by