2009年7月 1日 (水)

知的な刺激に満ちた2日間、Azimiさん、宮川さん、池上さんと

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先週の金曜日(6月26日)、広島へ行ってきました。

UNITAR広島事務所の初代所長として6年の任期を勤め上げたNassrine Azimiさん参考)の最後のRoundtableです。「多様性Diversity」をテーマに、MITの宮川繁教授と私が講演をしました。会場は広島平和記念資料記念館の講堂です。この6年間にわたって素晴らしい活躍をされたAzimiさんのファンが大勢集まり、夜はAzimiさんのスタッフたちと、くつろぎながら食事をしました。

講演の様子や資料などの詳細はUNITARのサイト中国新聞に掲載されています。

翌27日は、Azimiさん、宮川さんと3人で安芸の宮島を散策しました。

夕方に帰京。MITの宮川さんに加えて、同じくアメリカで活躍する池上英子さん参考)と楽しく夕食を共にしました。

宮川さんはMITのOpenCourseWareを開発した責任者の一人で、ネット時代の大学教材のありかたを示した方です。また、日本でもよく知られる「敗北を抱きしめて “Embracing the Defeat”」のJohn Dower教授Visualizing Culturesという、きわめてユニークでとても刺激的なコースを提供されている先生です。ペリーの来訪、日露戦争、広島の原爆の被害、資生堂等々が使われています。ぜひこれらのサイトを尋ねてみてください。

池上さんはこのブログで何度も紹介している名著「名誉と順応-サムライ精神の歴史社会学 “The Taming of The Samurai”」、最近では「美と礼節の絆-日本における交際文化の政治的起源 “Bonds of Civility: Aesthetic Networks and the Political Origins of Japanese Culture”」という日本文化史考察の2つの大書を著している方です。メールで交流はありましたが、お会いするのは今回が初めてでした。この2冊とも原作は英語(それぞれHarvard University Press, Cambridge University Pressです)なのですから、すごいことです。

とてもとても知的な刺激に満ちた、充実した2日間でした。

2009年6月29日 (月)

素敵な計画「Grameen Change Makers Program」

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早稲田大学2年生の3人とそのお仲間達が、去年の暮に訪ねてきました。彼らはバングラデッシュを訪問し、その状況に愕然として、「自分たちで何かできないか、そこから日本を変えたい。僕たちはやりますよ!」と。

彼らは、再度バングラデッシュを訪れて、多くの人たちと知り合い、1人は1年間大学を休学して現地で活動を始めました。この1人とは都合で会えなかったのですが、残りの2人が報告を兼ねて来訪されました(彼等のblogはこちら。写真つきで暑い内容です)。

いろいろと計画を進めていますが、その一つが「Grameen Change Makers Program」です。素晴らしい行動力、構想力、実行力です。現地の体験からの発想と、日本への思いがよく出ている計画です。一橋大学の米倉誠一郎先生にもずいぶんアドバイスを頂いているようです。

ここでのポイントは、「現地での体験が大事」ということです。ここから自分の中にある何かに気がつくのです。それでないと現地に意味のある貢献ができないのです。前に書いたコラムでも指摘したところです。

また、大学を1年休学するということも、とても素敵なことです。私は、多くの学生に、学部生の時に1年間の休学したり、交換留学をすることなどを勧めています。大学も休学する学生からお金を取ることもないでしょうが、むしろ大学も、国も、少々の応援資金を出すぐらいのことを考える時だと思います。企業が奨学金を出すのもいいことだと思います。このような若者の交流こそが、日本の将来を作る人材育成には欠かせない、決定的に大事なことです。

この「Grameen Change Makers Program」へ多くの若者の参加と、皆さんの応援をお願いします。大学も、企業も。

もっともっとこのような活動を広げることにこそ、日本の未来がかかっているのです。

2009年6月25日 (木)

インフルエンザ文明論

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4月の終わりからブタ由来のインフルエンザが広がり始め、世界中が大騒ぎになりました。速やかな科学的分析と対応、世界をまたぐ情報の共有を通して、幸いに今回はさほど大きな人的、社会的、経済的な被害は発生しないですみそうです。

よく考えてみれば人類の歴史は常に感染症との闘いであり、基本的には人類の活動範囲が広がるに伴って、これからも繰り返し起こることです。

この視点から月刊誌「新潮45」(7月号)に「インフルエンザ文明論」という私の考えを示してみました。

歴史を振り返り、将来を考える。これは何を考えるのにも大きな枠組みとして大事なことです。

ジャック・アタリの「21世紀の歴史:未来の人類から見た世界」は2006年の著作ですが、邦訳(2008年)が出ています。壮大な人類史と、21世紀の世界のありようについての予測です。今までの常識では考えられないような急速な変化です。でも本当に起こりそうです。

2009年6月17日 (水)

ノーベル賞とアカデミー賞

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この2つの賞は「科学・平和・文学」と「映画」で、それぞれ世界最高の栄誉と広く考えられている賞です。

21世紀になって日本からノーベル賞受賞者資料)が次々と出ました。昨年は科学分野で4人の“日本人”受賞者(南部、小林、益川、下村さんです。この場合の“日本人”の定義は国籍?血統?出身大学?等々の区別の問題があります。)が出るという快挙を成し遂げました。

今年のアカデミー賞では日本の作品「おくりびと」が外国映画賞を受賞。そして、「つみきのいえ」がアニメ短編でオスカーを受賞しました。すごいことです。嬉しいですね。

「おくりびと」は日本国内でも多くの賞を受賞し、広く知られていました。また「つみきのいえ」は12分のアニメ作品ですが、国際的にも高く評価されていたものです。

ビジネス誌の週刊ダイアモンドが「ノーベル賞とアカデミー賞」という企画で、ノーベル賞を受賞した島津製作所田中耕一さん資料)と「つみきのいえ」の加藤久仁生監督ROBOT)の対談を企画しました。

何故か分かりませんが、私に司会役の話が回ってきて、実はこれを引き受けました。

田中耕一さんとは何回もお会いしていますし、研究業績などはよく知っていますが、特に加藤さんの仕事のことなどをいろいろと調べ、対談の司会に挑みました。お二人の似ているところ、違うところは何か?等々。大変面白い企画で、楽しかったです。

さてこの対談の記事はどのようなものになるでしょう。雑誌が発売されたときにまたご紹介します。

編集担当の方、よろしくお願いします。


2009年6月16日 (火)

美しい日本 (ただし、幾多の問題も。。)

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UNITAR広島事務所のDr. Nassrine Azimi所長は真の知識人であり、私が深く尊敬する良き仲間の一人です。5年前に来日されたときからご一緒に仕事をしていて、このブログでも過去に何度かご紹介してきました(参考 123)。

Azimiさんは日本と広島を深く愛する一方で、日本のさまざまな課題について私が持っている問題意識を共有して下さっています。最近、New York Timesに日本に関する大変格調高く美しいOp-Edを発表されました。その中で私の教育改革に関する見解も引用されました。

皆さんも是非彼女のOp-Edを読んでみてください。

2009年6月15日 (月)

カンボジア、そして新しい縁結び

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以前、このブログでワタミの渡辺美樹さんをご紹介しました。「夢を実現させよう」と広く発信し、実践している素晴らしい起業家です。教育にもとても熱心で、自分で学校を経営し、またカンボジアで学校建設を手伝い、教育に貢献をされています。若者を元気づける本もいくつか書かれています。

もう一人の友人に、McKinsey日本支社長のエアン・ショーさんがいます。あの大虐殺が起こっていた頃にカンボジアからフランスに逃れ、そこでも苦労を重ねつらいことを多く経験しながら勉強し、いまやMcKinsey JapanのTOPです。とても真摯で素晴らしい方です。

先日、このお二人を引き合わせました。私は海外でしたのでお二人の昼食会に参加できませんでしたが、とてもいい時間をすごしたようです。

カンボジアという共通のテーマで協力関係が進むでしょう。楽しみです。

このような素晴らしい方々の「縁結び」も楽しいものです。


2009年6月11日 (木)

インドとカリフォルニアと東京

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東京でIndian Institute of Technology(IIT)University of California at Los Angeles(UCLA)University of California at Berkeley(UCB)の日本同窓会の主催で、“インド-日本-アメリカの関係”という楽しい集まりがありました。

前インド大使の榎木さんや前駐日インド大使のSethさんも参加され、パネルがあり、また楽しいNetworkingの時間でした。集まりの様子はanimoto slideshowで見れます。

この様な会合が開催されるのはうれしいことです。


2009年6月 4日 (木)

イノベーション・クーリエ事業

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「イノベーション25」の政策を受けて、様々な施策や活動が始まっています。その一つに、私も協力している「イノベーション・クーリエ」という事業がありまして、いろんな事業、講演会、会誌を発行するなどの活動をしています。

今回、横浜で「水」をテーマにした展示会を開催しました。トラック掲載型海水飲料化システムや、バングラデッシュで実用化されている簡単な水浄化装置などが展示されました。いづれも素晴らしいものでした。しかし、アフリカをはじめ、もっともっと現地のニーズにあった装置の開発も必要であることを痛感しました。

日本ではどうしても技術先導で、しかも技術者がより良いものを、より精度を高く、ということに囚われるあまり、現地の人からすると、高価すぎるとか、現実的ではないものになりがちです。また、資金援助も国に頼ってばかりになっているのではないかと感じています。素晴らしいものは多いのですが、一日でも早く現地に届ける、そのための仕掛けや資金のあり方にも、違った視点や工夫が必要と思います。例えば現地での雇用を増やしたり、貧困から少しでも助け出そうという視点も欠けているようにも思えました。それは多くの人に現地での生活感や生活体験が欠けているからではないか?そこが、“Demand-Driven”のイノベーションが大いに有効なグローバル時代にあっての日本の弱さだと思います。

私も講演をしましたが、グラミーン銀行の実例や、KickStartのような素晴らしいNGOの活動にも触れました。これこそがイノベーションによる「新しい価値の創造」です。


2009年5月29日 (金)

Stanford大学と日本起業研究

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昨年からStanford大学とStanford Project on Japanese Entrepreneurship (STAJE)という共同研究が行われています。“MOT”で著名な元副学長のWilliam Miller先生たちとはじめたのですが、5月29日に東京大学で公開の発表会がありました。

Dr. Millerと私は挨拶で参加。Miller先生は80歳とちょっとですが、まだまだ現役。また一つ会社を始めたそうです。東大の各務茂夫教授とStanford大学のRobert Eberhartさんが幹事でした。

私は、とにかく開国とイノベーションを催促する黒船“eco-platform”が来ている。つまり、先週はTEDxTokyo、そして来週にはTiEのTokyo Officeが開設されることを話しました。

雨の降る天気でしたが、250名ほどが参加し、皆さん熱心に議論されたようです。途中で退席をしていたので、後で聞いたことですが。この会議の様子はForbesで紹介されています。

日本、そしてSilicon Valleyの良いところを論じているのですが、いずれ報告書が出ると思います。日本には多くの可能性があるのです。しかし、大事なことは実行です。“Think Locally, Act Globally”ですが。工夫しながら、いくつかのパートナーと仕込みたいと考えています。


2009年5月27日 (水)

地球温暖化へ、日本の目標はどこに?

地球温暖化は、全人類にとって21世紀最大の課題です。対策は遅々として進みません。難しい問題がたくさんあります。でも行動は待ったなしです。100年に一度の経済の低迷とかで、どこかに吹っ飛んでしまったかの様子もないではありませんが、大変なことです。

日本はどうでしょう。国家のビジョンと、国家のリーダーの役割 がこれほど求められているときは歴史的にもそうはありません。

5月24日、官邸で地球温暖化問題に関する懇談会が開催されました。これが最終回だと思いますが、どう国家の決断がされるのでしょうか?この懇談会の様子や資料はネットで見ることができます。私はやはり早口ですね。いつものことですが反省しています。資料ではパブコメと世論調査の大きな違いが目立ちます。なぜでしょうか?

日本は2006年G8サミットで、2050年までに世界全体でCO2排出量を50%削減するという、「CoolEarth 50」という米国も入れた画期的な国家のコミットメントを出しています。また、2008年の洞爺湖サミットでも2050年までに60~80%削減のコミットメントをしています。

では2020年への日本の中期目標はどこなのか?いまは各論ではなくて、従来のコミットメントを実現する道筋としての国家のコミットメントを宣言する時です。すべての可能性と分析はされているのです。できない理由を言っていてもいたし方ありません。やらなくてはいけないのです。今は大転換のときなのです。